
不動産業界は年収が高くて有名ですが、その筆頭にあげられるのが三井不動産や三菱地所などの財閥系デベロッパー、東急不動産などの鉄道系デベロッパー、野村不動産などの金融系デベロッパー、ヒューリックなどの不動産賃貸業者です。
今回は、これらの企業への転職を視野に入れているビジネスマン向けに、どの企業が一番年収が高いかという観点から検証してみました。
年収の高さに惹かれて不動産業界を目指されるビジネスマンは数多くいると思います。
そんなビジネスマンの方のために、各企業の過年度の年収推移を考察し、非常に参考になる情報を盛り込みました!
目次
1.高年収企業8社の過去の年収推移
まずは、以下のグラフを見てください。
単位(円)
※ランドビジネスのH29は発表前なのでデータがありません
不動産業界の中でも、特に年収が高いと言われる三井不動産、三菱地所、東急不動産、東京建物、野村不動産、ヒューリック、日本商業開発、ランドビジネスの計8社を抜粋して過去の年収推移を分析しました。
このグラフからは主に5つのポイントが読み取れます。
① 三井不動産と三菱地所は、ほぼ横ばい
三井不動産の最高年収はH29の11,416,000円、最低年収はH21の10,969,000円です。
三菱地所の最高年収はH29の11,904,874円、最低年収はH21の10,435,499円です。
両者には、最高年収と最低年収の差が非常に小さいという共通点があるのがわかります。
これが意味するところは、社会経済の影響を受けやすい不動産業界で、不況時でも安定的に高年収を維持できるということです。
特に、三井不動産の場合は、最高年収と最低年収の変動率が約4.1%とほとんど変わっていません。
平成20年あたりは、リーマンショックの影響で給料がガクンと下がってもおかしくはないのですが、少なくともそのようなことはなかったと言えます。
② 最も高い年収を記録したのは日本商業開発
最も高い年収を記録したのは、H28における日本商業開発でした。
その額はなんと、17,410,624円です。
サラリーマンの平均年収の4倍程度ですから、非常に高い水準であることがわかります。
不動産業界が高給とはいえ、この水準は商社やテレビ局を凌駕するほど飛び抜けています。
ちなみに、この年の2位は12,952,895円のヒューリックですが、両者の差は、446万円もあります。
日本商業開発おそるべしです。。。
なお、日本商業開発の年収が高い理由については、こちらの記事で解説しています。
③ 最も低い年収を記録したのはヒューリック
そして、8社の中で最も低い年収を記録したのは、H21におけるヒューリックで、その額は7,254,329円でした。
日本一地価の高いエリアである銀座に多数のビルを保有するヒューリックですが、リーマンショックの影響で、H21〜H22にかけて銀座では地価の大暴落が起きましたから、それぞれの年の年収が他の企業と比べて圧倒的に低いのがわかります。
社会経済の動向に左右されやすい不動産賃貸業を主力ビジネスとするヒューリックにとって、リーマンショックの影響は大きかったのでしょう。
④ 現在の最下位は野村不動産
H29現在において最も年収が低いのは、残念ながら野村不動産でした。
とはいえ、950万円近くもらえるわけですから、高水準であることは間違いありません。
最も懸念されるべきは、下降トレンドに入っていることでしょう。
H21とH29の差は-100万円を超えており、近年の不動産ミニバブルを考慮するといかがな数字です。
東京建物も若干の下降トレンドではあるのですが、野村不動産ほどではありません。
今後、高年収を期待して野村不動産へ転職しようとされる方は注意が必要かもしれません。
⑤ 現在のNo. 1はヒューリック
そして、H29現在において年収No. 1に輝いたのは、ヒューリックでした。
その額はなんと14,184,517円というのですから驚きです。
銀座の地価が上がり(山野楽器の公示価格が過去最高の50,500千円/㎡を記録)、賃料収入も増加し、年収アップに繋がったものと思われます。
さらに、グラフを見てもらえると、H22を除き一貫して右肩上がりで推移しているのがわかります。
これは、さらなる成長が期待されると捉えることができる一方で、前述のように、不動産賃貸業は社会経済の動向に左右されやすいため、近年の不動産ミニバブルが影響しただけの一時的な現象とも捉えることができます。
現在ではNo. 1ですが、今後の社会経済の動向によっては注意が必要です。
2.代表的企業8社の時系列で見た平均年収
次は、1.で見た企業のH21〜H29における平均年収です。
単位(円)
みごと過年度の平均年収1位に輝いたのは、三菱地所でした。
次いで、三井不動産、ランドビジネスとなっています。
三井、三菱の2大財閥はさすがの安定感ですね。
そこにランドビジネスが食い込むといった形です。
H29現在においてNo. 1のヒューリックはというと、ランドビジネス、東急不動産に次ぐ5位であり、それほど高くはないことが分かります。
また、最下位に沈んだのは、東京建物でした。
H21に10,439,858円を記録して以来、再び1,000万円台に戻ったことはありません。
野村不動産は、下降トレンドはとはいえ、過年度の平均で見ると、1,000万円台はキープしているようです。
日本商業開発はこの8社の中で、一番若い会社であり、東証1部に上場したのも2014年と比較的最近です。
8社の中で過去最高の年収を叩き出すも、過年度の平均で見ると、1,000万円台に到達することなく、まだまだ安定といえるものではありません。
3.今後の予想
ここからは、過去の推移から予想される今後の年収について、独断と偏見で考えてみたいと思います。
三井不動産
ここまでの推移を見てきても横ばいと考えるのが自然でしょう
三菱地所
三井不動産と同様に横ばいで推移していくでしょう
東急不動産
インバウンドにより東急沿線の需要は上がるため微増
東京建物
これといった材料がなく過年度の実績が下降トレンドに入っているため微減と予想
野村不動産
マンション開発を主力事業とする野村不動産ですが、マンション価格は下落に転じ始めています。
このような事情と過去の推移を勘案して減少と予想します
ヒューリック
銀座をはじめとする商業地の地価はこれからも上昇が続くと予想されるため増加
日本商業開発
東京の不動産の利回りが低くなったため、各不動産ファンドは大阪にポートフォリオを広げ始めました。
これからますます大阪の不動産市場は加熱していくでしょうから、大阪に本社を置く日本商業開発に期待されたいということで増加とみます
ランドビジネス
ランドビジネスの保有する不動産は、プラザシリーズが代表されますが、比較的中小型のものが多い印象です。
2018年以降、オフィスビルの大量供給を控えている東京都心は賃貸オフィスの空室率の上昇が懸念されています。
そのようななかで、中小型のオフィスに競争優位性があるとは思えませんから、微減と予想します。
4.最後に
ここまで、不動産業界を代表する高年収企業8社をピックアップしてきましたが、当然、年収が全てとは限りません。
お金で測ることのできない仲間や経験、残業の多寡、自分にあった社風といったものもあります。
転職の際には、年収はあくまでも転職の理由となる要因の一つ、というぐらいに留めておきましょう。
この記事が気に入れば、ぜひシェアしてください!